新着コンテンツ

- 歯科医院の経営 -

2021.04.13 歯科医院を安心して経営していくために

歯科医院経営の要諦 余話「熱量と超過」

株式会社ジャパンデンタル
執行役員営業本部副本部長

関 修

 

成功歯科医院経営者になるための四大ポイント

①優良な開業地の選定

・対象人口と競合性、医療コンセプトと対象地域の適合性
・地域の将来的発展性(人口・経済・通院手段)
・物件の長期的安定性(集客・経済条件・オーナー)

②歯科医院の特性に合致した資金調達・財務管理

・歯科医院収支に合った長期安定資金の確保
・長期的設備更新計画

③院長自身の高い医療技術と対患者説明能力

・専門性による差別化
・スキルアップを図り、最新医療技術習得に努める
・患者目線に合わせた説明技術

④優れたスタッフ教育・労務施策による患者満足度の向上

・執行者としてスタッフの役割認識(教育機会・院内情報・雇用環境)
・院内教育制度とスタッフ動機付け施策

 上記は、約18年前に私が歯科医師向け新規開業セミナー用に作成したレジュメの一部です。内容を一瞥頂き、今とあまり変わっていないと見るか、歯科業界も変動しているのだと見るかなどは人それぞれのご感想を持って頂いて結構なのですが、作成側の考えとしてはちょっと違います。
 
正直、今作っても同じようなものしか出来ないのかも知れませんが、内容的には完全に「置きに行っている」ものであり、恥ずかしい限りです。「置きに行っている」とは組織内や組織外、歯科医や関係業者などが見ても反感や相違意見をもらわないように作り、「安定的にまぁ、そうだろうなぁ」との認識を常に貰えることです。私も企業人として上司先輩方の視線にガクブル状態の中で作ったのではないかと思うわけです。
(小心者なので)
 
確かに読み返しても違和感はないですし、恥ずかしがる内容では無いのでは?とのお声掛けがあったらうれしい限りですが、実は・・・結果論なのです。これから開業する先生方に、「成功するためには‼ これを実施すれば大丈夫ですよ~!」と言っている訳ですが、実情は一定以上の売上に到達し利益確保にも成功している先生方が、立ち上がり時に何を心掛けていたのか?という聞き取りを羅列しただけなのです。
 
確かにその羅列も一つの解と言えるのですが、対処方法の一部分でしかありませんので本質的とは言い難いところがあります。(患者層やエリア特徴などにより、対応方法の正解は千差万別という意味です。)しかし、賢明な先生方は本質論より、上記羅列文の方が大衆受け・組織受けが良く、何より説明しやすい。との弁明に同意いただけるのではないかと勝手に考えております。
 
表題の「熱量と超過」意味するところは対応・対処方法などはちょっと探せばいくらでも出で来るものなので一つ一つの方法論に大した意味や重要性などはあまりありません。重要なのは、危機意識を持ち、対応しなければならないとの主体性を持って、行動を起こし、熱意を持って継続的に活動し続けること。これを私なりに、熱量と超過と表現しております。
 
この表現は伝わり辛いかもしれませんが、どこの組織や活動にも共通することだと思います。一般的なサラリーマンも所属する企業の設定するビジネスモデルに沿い、収益増の任を負っています。しかし、指示を待つだけの一般社員たちは忠実に社会規範を遵守しつつ、組織のロールモデルをトレースして行くだけ(または振りをするだけ)ですが、役職者以上はそこに自らの創意工夫を加え、収益を拡大させなければなりません。この動機付けこそが熱量と超過です。
 
しかしながら大半の役職社員と言われる方々でも「忙しい」との自己呪文を唱え続けて、熱量と超過を持ち合わせていない自身を隠し続けているのかも知れません。どのような仕事や業務でも事務や作業などがあります。その事務や作業への対応に窮してしまい「忙しい」と自分自身に言い訳した時点で拡大はありえないので、私の言う超過は持って居ないとなります。
 

 
少しの熱量があれば、仕事・帰属は続けられるため、組織では熱量や超過をどのくらい持っているかを基準として人事の適正配置が大切となります。歯科医院は歯科医師によるワンマン組織なのです。もっと具体的に話すと、歯科医院では通常業務として来院する患者様に対する治療があります。
 
当初に設定した治療計画に沿って「粛々と毎月の来院を促し施術して行く(熱量)」、しかしもっと患者様のためになるものは無いのか「探して・提案し・説明をする(超過)」この反復の中から、超過に触発された熱量が患者様の感情を誘発し、自費治療に・口コミに・医院イメージにドンドン繋がっていくのだと私は考えているのです。
 
消毒して・詰めた薬剤交換して・削って・埋めて・会話もなくお終いとしていませんか? 問診表に保険対応希望と記入していても、「被せ物は自費でも構わない」と変更されるケースはいくつもあります。これらを誘発する自発的なプレゼン行為を規定を超える部分として超過と言う表現としています。間違わないで欲しいのは、超過は予定・規定・想定に自発的発想、提案を付加し、結果としての増収をもたらす活動であり、精神的な要素は一切含んでおりません。
 
自発的行為なのです。
 
このことから、サラリーマンであれば生涯一般職、ぶら下がリーマン、給与泥棒など(言葉が悪くて申し訳ありません)熱量と超過への回避手段が多数存在するのでしょうが、経営者・資格者・施術者・責任者・雇用主である先生方が、「熱量と超過」の二つを持ち合わせている事こそが最も重要な開業のポイントと言えると昨今は考えております。手始めに、ご自身の開業計画を第三者に熱く語れますか?
 
逆に、これ迄の勤務先における自分自身の患者様対応から「熱量と超過」を持っていないと自己判断できるのであれば、開業せず勤務医のままで居る選択肢が、最良な人生設計となるかも知れません。先輩が、同級生が、そして後輩が莫大な借金をして開業したのだから自分も同じように!であれば止めておきましょう。自身だけの大切な人生です。
 
先生は、その莫大な借金を数倍の資産に変化させる「熱量と超過」を本当に持って居ますか?
 

ページトップへ矢印