歯科医院経営研究会2018年度特別講演会

2019年5月12日(日)
ステーションコンファレンス東京

自由診療で歯科臨床を10倍楽しくする方法
~学校では教えてくれない開業医の本音の話~
講師 小川 洋一 院長

明海大学卒業
東京ステーション歯科クリニック(東京都) 院長
松本歯科大学臨床教授
歯科医院経営研究会 理事

歯科医院経営研究会の2018年度特別講演会を5月12日ステーションコンファレンス東京(東京・丸の内)にて開催した。冒頭に歯科医院経営研究会の佐藤正文理事より「臨床家(東京ステーション歯科クリニック院長、松本歯科大学臨床教授)としてご自身が実践しておられる自由診療に対する考え方や歯科医院経営者としての考え方は、特に若い先生方にとっては必ず有益なお話しをいただける」との講演の趣旨が述べられた。

小川洋一院長

はじめに

 歯科医院数がコンビニエンスストアの数より多いという報道などから、多くの若手歯科医師がこれからの歯科界に悲観的なイメージを持っているように感じるが、そもそも単純な歯科医院数から歯科医院経営について論ずることに意味は無い。
 確かに過去24年間で、日本の人口が約1.02倍となっている環境下で

歯科医院数は、1.22倍
コンビニ数は、2.53倍

しかし1993年から2017年でコンビニエンスストアは、顧客の数を増やし、1回の来店で使うお金を増やす企業努力により、売上高を約4.09倍に伸ばしている。
 歯科医院は、この部分が欠落していた。保険診療を基軸とした場合、歯科は20年間で、患者数が1.04倍にしか増えず、一人当りの治療費は、0.96倍に減らしてしまった。歯科医院の数が増える事を心配するのではなく、患者一人当りの治療費を減らしてきた事に問題があるのではないか?

では、どうやって歯科医療費を増やすのか?

⇒「そのカギは、自由診療にある!」

 開業してから自分がやってきた事は一つだけ、「一生懸命治療技術を磨いてきた」。その上で自由診療を使う事で、患者さんの満足度を高めてきた。歯科医院経営で成功する方法は、小手先のテクニックでない本物の歯科技術を身につけること。優れた歯科医師になれば、経営の成功は必ず付いてくる。その結果、歯医者をやっていることが楽しくなる。「楽しい」と「楽」は違います。

 

「インプラントをやらないと自費が上がらないは「×」、全くの間違いである。」
「歯が無い人に質を求めて満足のいく治療を求めて」の為の方法論がある。」
「その患者さんに対する最良の治療方法が、たまたまインプラントであった」はずである。
質を求めて、精度の良い治療を行なう⇒「優れた事をやれば、患者さんには絶対分かる!」

 
の高い治療を患者さんの満足度高く行なう、そして続ける

 

自由診療とは?

 歯科治療として質の高い治療を行なう事であり、使う材料が違うからとか、この道具を使うからとかで決まるものではない。
歯科治療として行なわなければならない事を的確に精度よく行う事。
 治療の質を求める治療。

 

自由診療に治療費とは?

 高い質を提供するために、その歯科医師が高度な技術を習得するために投じた時間と経費。
 その技術を提供するために必要な時間と材料や設備。

 
 

 歯を入れるのではなく、患者さんを直す。そこに歯科医師としての社会的な意義がある。だから主治医として、医科よりも長くその患者さんと関わっていける。歯科医院における自由診療の重要性とは単に経営上の目的ではなく、あくまでも患者さんに対し質の高い治療を行なう為の方法論でありツールである。
その為に技術者である歯科医師にとってのおもしろい事とは
 

①自分が上手くなること
②自分が出来るようになること。

 
歯科治療技術をいろいろと学ぶ。努力して、上手く出来るようになる。歯科治療が好きになる。ここまでは2~3年位か?

 

 好きになれば、もっともっと上手くなりたいと努力する。努力すれば、ますます上手くなる。やがて患者さんから選ばれる歯科医師になると歯科治療が楽しくなり、ますます上手くなり、もっと楽しくなる。
 私は、20年かかりました。それでも技術的に妥協したら、面白くない。

 

・上手く形成できると楽しい!
・歯肉縁下マージンが上手くいくと楽しい!
・上手く印象採得できると楽しい!
・マージンが綺麗に削れて、しっかり印象が採れると楽しい!

 

 この様に自由診療とは、質を高めるために必要な技術を提供することである。治療費は、治療技術に対する対価である。質の高い治療技術を習得出来たことへの喜びとその技術が人の役に立ち、感謝されることで、自分の歯科医師としての社会的存在意義が大きくなる。
 このことが、自由診療の醍醐味でもある。

質の高い治療には、圧倒的な治療時間が必要となる。

 

質を求めれば、一人の歯科医師が一日に治療できる患者数には限界がある。

 

治療に費やす時間に見合う治療費が必要となる。

 

治療の質を提供するために必要な治療費を誰が負担するか?

国ですか? → 今後とも期待できず
患者本人ですか? → 負担しようと考えている人と考えていない人がいる

 
診察におけるプロセスを、もう少し詳しく考えてみたいと思う。

自由診療を考察する

 
質の高い治療を行うために必要な治療費

患者 歯科医師
自由診療を受診する
自由診療を受診しない
必要な治療費がなければ質の高い治療を行えない
そもそも、質の高い治療を行う技術がない

 
なぜなぜ

自由診療を受診する  ⇒ 診療結果に価値を見出している
自由診療を受診しない ⇒ 診療結果に価値を見出していない

 
 

1.診査

口腔内で何が起きているのかを伝える

2.診断

どの様な治療方法があるのかを伝える

 
ここまでのプロセスは歯科医学的な視点から考えるので、患者の個性は関係ない
 

3.治療方針の決定

患者と相談し治療内容を決定する 

 
このプロセスには患者の個性や希望が関係してくる

自由診療の形成印象

最後に

 

・支台歯形成と印象採取が上手くなるポイント
・審美治療における「縁上マージン」「 縁下マージン」
・生物学的幅径とフィニッシュラインの設定位置
・正確な支台歯形成と印象採取の精度
・オールセラミッククラウンに必要な削除量
・回転切削器具と振動切削器具
・二重圧排法

等について具体的に実際の動画を用いて解説した。

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